
宝塚月組でダンス、歌、芝居と三拍子揃った男役スターとして活躍した宇月颯。退団後もミュージカル、ストレートプレイ、朗読劇等々の舞台活動と共に、中心となるショーステージや、Liveパフォーマンスなど、ますます活躍の場を広げている。
そんな宇月が、自身の誕生日4月17日に銀座の中央通りにほどちかいライブハウス銀座TACTで「Hayate Uzuki~ Birthday Live~」を開催する。昼夜2回のLiveで異なるプログラムや、初となるBirthday Liveに込める思い、更にルイジ・ルキーニ役で多くのステージを務めた『エリザベートTAKARAZUKA30周年スペシャル・ガラ・コンサート』で得たものなどを語ってもらった。
皆様に「Love」届ける「Birthday Live」
──宇月さんのお誕生日、4月17日の「Hayate Uzuki~ Birthday Live~」について、まずお伺いしたいのですが、いまどんな準備を進めていらっしゃいますか?
今回は昼(14時30分開演)と夜(18時30分開演)で内容が変わるんです。夜の回には白雪さち花ちゃんがゲストで出てくれるので、私とバンドメンバーで創るお昼の方では、私から「楽器をやりたい!」と無茶なリクエストをしていて(笑)。
──どんな楽器にチャレンジされるのですか?
私のLiveの時にバンドマスターでドラムを担当してくださっている吉田貴博さんという方がほら貝を吹けるんですね。
──以前のLiveで初めて聞かせていただいてびっくりしました。あんなに間近でほら貝の演奏を聴く機会ってなかなかないので。
そうですよね?来てくださった方からも「すごく感動した」というお声をたくさんいただいてきましたし、ほら貝って合戦の合図で吹かれもしますから、聞いていて気合いが入ったり、気が浄化されたりして、すごくいいエネルギーをもらえるので、私のLiveでは恒例になっているんです。特に今回は「Birthday Live」なので、これまでとは違う趣向でお届けしたかったこともあって、ほら貝とセッションできる和楽器をやろうと。そう考えていった時に、宝塚時代に私は和太鼓を2回やっているので、ある程度感覚がわかっていますから、この期間にそれを呼び覚ませるかな?と、ほら貝と和太鼓でセッションさせていただくことになりました。ライブハウスにほら貝と和太鼓が鳴り響くって面白いんじゃないかなと。
──とても貴重な時間になると思いますが、それはお昼の部のプログラムなんですよね?
しっかり1曲お聞かせできるのはお昼の部ですので、平日ですからお時間を空けるのが難しい方もたくさんいらっしゃると思いますが、是非聞きに来ていただけたら。ただ、夜の部はありがたいことに既に満席をいただいているのですが、気心が知れたバンドメンバーが様々なアイディアを出してくれたこともあって、ゲストのさち花の歌を盛り上げると言うか、そこにつなぐ形で夜も少し聞いていただけるようにしました。
──それはとても嬉しいですが、他にも内容について教えていだたけることはありますか?
昼は夜のゲストコーナーの時間に私の好きなアーティストさんの楽曲のメドレーが入ります。そこではダンスも入れて歌いながら踊ります。
──待ってました!というところですね。
そう思っていただけたら嬉しいです。今回は私の誕生日当日のLiveで、シンプルに「Birthday Live」をタイトルにしているので、私の生まれた日に皆様が集まってくださるということへの感謝を込めて、裏テーマに「Love」を持ってきているんです。誕生日に公演中だったことや、配信をしたことはあるのですが、自分のLiveを開催するのは初めてですし、そういうのがこっぱずかしい(笑)と思ってしまうタイプでもあるのですが、こうして企画として立ち上げられたことが自分にとってもすごく特別なことで。皆さんから「おめでとう」と言っていただける日なので、これまでの感謝を込めて、私からは愛をお返しできたらと思っています。
──とても素敵な祝祭空間になりそうですね。
毎回セットリストを組む時には、自分の好きな歌、届けたい歌を選んでいるのですが、今回はバンドの皆さんにも「よくこれだけ愛の歌を探しましたね」と驚かれたくらい、「Love」の詰まった楽曲、メジャーなものからこんな歌もあるんだ、と思っていただける歌も用意しています。もちろん直接的に「Love」が入った曲だけではなくて先ほどお話したアーティストメドレーは「Love Artist」と名付けて、私のアーティストさんへの愛を詰め込んだコーナーにするなど色々な方向性がありつつ、皆さんに愛をお届けすることがコンセプトになっています。夜のさち花のゲストコーナーはそこから離れて、私とさち花のトークや、デュエットも2曲お聞きいただきますし、もちろんさち花のソロもあって盛りだくさんでお届けします。せっかくさち花に出てもらえるので、ステージで一緒にいる時間を長くとりたいなと思っています。他にもビジュアル面でも楽しんでいただけるような趣向も用意しているので、期待していただきたいです。

バンドメンバー(左から)Key 西寿菜さん、宇月颯さん、Dr,Band Master吉田貴博さん、Gt 中山彰太さん
演じ手として、また創り手としてエンターテイメントを生み出す
──また今回はチケット代のなかにオリジナルTシャツが含まれているのですね。しかも昼夜色違いで。
そうなんです。これまでもグッズとしてTシャツはご用意していたのですが、今回はせっかくの機会にみんなでお揃いのTシャツで盛り上がれたらライブ感もグッと増すと思ったので、上着を脱いだらサッと重ね着していただけるようにセットにさせてもらいました。私も衣装と一緒に着ようと思っているので、是非皆さんにも同じTシャツで盛り上がっていただきたいです。2023年からLiveをやらせてもらっていて、セットリストもできるだけ重ならないように、常に新しい曲を歌ってきていますし、毎回世代を超えて楽しんでもらえる昭和の曲とか、最近のSNSで流行っている曲なども入れてきました。ただ今回は、私自身は初めて歌う曲がほとんどですが、スタンダードとして長年愛されている曲、皆さんも聞き馴染みのある曲がたくさんあると思いますから、それも楽しんでいただきたいです。
──今回のLiveもご自身で構成・演出もなさっていますし、美弥るりかさんが明治座で開かれたフェスティバル企画やディナーショーの振付や演出もされるなど、近年クリエイターとしてもお名前を伺うことが増えてきましたが、それは意識されてのことですか?
ありがたいことに最近、振付などでお声がけをいただくことがとても多くなりました。特に美弥さんの場合は、気心の知れた方なので、美弥さんにどんな振りが合うか、どんなことをしてもらったら皆さんに楽しんでいだたけるかがわかるところも多いですし、ご本人の意向も汲み取れるので、私だから創れるものがあるんじゃないかとお引き受けしました。そうして取り組んでみると、ここはどうしたら綺麗に出ていただけるかですとか、何人いればこれができるかなどを考えていくことも、自分はすごく好きなんだなと気づいて。実際に振り返ってみると、宝塚にいる時から演出の先生から「トシ(宇月の愛称)はどう思う?」 「ここはどうしたい?」と訊かれることもあり、宇月颯さんという人を客観的に見て、どう動いたら面白いかなと、考えさせていただく場、ある意味任せていただくことが多かったんですね。当時は「いえいえ、そこは決めてくださいよ〜」なんて思っていたのですが(笑)、私から出るアイディア、クリエイティブな部分を尊重してもらえていたのかなと感じて。そこからクリエイトすることも積極的にやって行こうと思うようになりました。結局振付にしても、この人でこういう動きが観たいな、こう動いてもらったら素敵だな、と想像していくので、自分が動くか、別の方に動いていただくのかの違いだけで、エンターテイメントを生み出すということでは同じなんだなと。自分が演者になった時にもとても勉強になりますし、演出家や振付家の方がおっしゃっていることの理解度も深まったなと思えるので、演者の側の気持ちがわかって創る、創る側の気持ちがわかって演じる、双方が自分にとってすごくプラスになっていると思っています。
──日々の積み重ねの一つひとつを大切に、ご自身の栄養にされているんだなと感じますが、直近の大きなお仕事として『エリザベートTAKARAZUKA30周年スペシャル・ガラ・コンサート』へのご出演がありました。ルイジ・ルキーニ役として大活躍でしたが、いま振り返っていかがですか?
いまは全ステージを終えて本当にホッとしていますし、楽しかったと思えているのですが、前回25周年記念のガラ・コンサートに初めて参加させていただいた時には、周り中どこを見てもレジェンドの方々ばかりで、新人公演で1度ルキーニを演じただけの、歴代キャストでもなんでもない私がこの方々のなかにいていいものか、という気持ちが強くて、正直自信をなくした時期もあったんです。でも宝塚の『エリザベート』は日本で初めて『エリザベート』という作品が上演された、今日までこれほど愛され、続いてきた歴史がはじまった大切な記念のお祝いで、こんなに素晴らしい人たちが演じ、つないできたんだということをお客様と共有する趣旨があるんだと感じていって。そんななかで自分自身のことだけで震え、緊張している姿をお見せしたら、お客様がせっかくのガラ・コンサートを楽しめるの?と考えると、それは絶対に違うなと思いましたし、あくまでもマイクを持った「ガラ・コンサート」であること。作品を上演するのとは別の意味があるのだからと、気持ちを落ち着かせながらひたすらがむしゃらに頑張っていたんです。
──30周年記念公演では新人公演で演じた方、代役だった方など更なる広がりを見せていますが、25周年当時はそうした思いもおありだったんですね。
今回はそこから5年経って「エリザベートガラ・コンサートファミリー」と言いますか、5年前にご一緒させていただいた方たちがたくさんいらして「あー元気だった?」というところから入れたこともあって、緊張しすぎることなく、自分もリラックスして参加できたんです。特にルキーニはステージ上にいる方々とのやりとりだけではなくて、お客様ともこの時間を楽しむという役割りがありますから、いい意味で役づくりだけに集中しすぎず、周りに視野を広げて演じることができたのかなと。今回もフルコスチューム版にも出させていただいたのですが、だからと言って役だけに入り込みすぎてしまうと、劇場の空間、お客様、オーケストラの方もバックにいらっしゃるコンサート形式だということを、どこかで忘れてしまいそうになるので、自分のなかではこの「ガラ・コンサート」を通して、宝塚の歴代の方々が演じた当時を思い出していただくことと、『エリザベート』というミュージカルを楽しんでいただくことの間というのでしょうか、その良い塩梅を探していきましたし、前回よりもそれが追求できたように思います。本当に歴代の方々が、特別な想いで参加されているのを肌で感じましたし、そこにルキーニとして参加できたことが自分にとってもすごく素敵な時間で、学ばせていただくことも多かったです。特に前回はコロナ禍での上演だったので、客席に降りられなかったのですが、今回は2幕の頭に客席に行かせていただいて、お客様とのリアルなやりとり「みなさん、楽しんでますか?2階、3階席も楽しんでますか~?」という、ある意味物語から飛び出して、物語の世界観とお客様とのコミュニケーションができたんです。そのなかで、これは演出の先生に言われたことではなくて、私自身の解釈なのですが、そうした物語の外の枠組をしっかり作ることで、「ガラ・コンサート」としての、作品上演とはまた違う醍醐味をお届けできるのではと思ったので、ルキーニとして演じつつお客様との懸け橋になれたらと思っていましたから、5年前よりずっと楽しんで務められた気持ちがしています。
すべての経験が糧になる
──今回は特に、ルキーニとしての宇月さんご自身の自由度が、すごく増していらっしゃるなと感じました。
そこはLiveを続けてきて、お客様ととても近い距離で反応を感じながらステージに立ってきたことが大きかったなと思っています。やっぱり劇場空間で演じているときには、まず作品を観ていただく、という気持ちが強かったのですが、Liveやイベントに多く携わってきたことで、舞台上で自由にいられる感覚が自分の中にも掴めてきていたんですよね。ですから『エリザベートガラ・コンサート』としては、お客様との距離感が若干バグっていた時もあったかもしれませんが(笑)、作品が強固なだけに、私がお客様側に少々近づいたところで、ベースが崩れてしまうことは絶対にないので、良い意味で力が抜けた部分もあったと思います。5年前に驚くほど多くの嬉しい感想をいただいてもいたので、それを越えられるのか?というプレッシャーも逆にあったのですが、違うところで培ったものも使って演じられたらと務めていたので、自分でも自由度は増したのかなと思っています。
──出演回数もすごく多かったですよね?
私として多種様々なバターンがあるので、飛び飛びに出ている気持ちだったのですが、結局ルキーニとしては1番多く出ていたということで、本当にありがたかったなと。
──宇月さんが宝塚を目指すきっかけになられた瀬奈じゅんさんのトート回ですとか、共に新人公演で演じられた明日海りおさんのトート回等々、拝見していてもエモーショナルな組み合わせがたくさんありましたが、なかでも珠城りょうさんのトートバージョンでは、トートとルキーニのアイコンタクトがとても多いように感じたのですが。
そうなんです。たまちゃん、私は珠城さんをたまちゃんと呼んでいるのですが、たまちゃんのトート閣下はルキーニの存在をすごく意識してくれる演じ方をされていて、計画がうまく言った時にはニヤリと笑ってくれたりするのが私も嬉しくて、ルキーニとしてもトート閣下をすごく見ていたと思います。「30周年バージョン」を加えると、もっと多くのトート閣下とご一緒させてもらっているのですが、1回のコンサートを通して演じたなかでは4人のトート閣下とやらせていただいて、お一人おひとりの感触が全く違っていたんですね。じっくり見る方もいらっしゃれば、黄泉の帝王の世界に入られている、プランがしっかり固まっている方もいらしたので、そうした時には私は裁判官に「トート閣下はこう思っていますよ!これが真実です!」と伝えていたかなと思います。もちろんそれも計算していたのではなくて、その日のトート閣下によって、自分から生まれる感情に素直に従って演じていたのですが、たまちゃんの場合はお互いに全く相談したわけではないのに、コミュニケーションを多く取るトート閣下とルキーニになったので、私も一緒に物語を進めていく感覚がとても強かったですね。どちらが良いという話では全くないのですが、やっぱりたまちゃんとは長く同じ組で新人公演時代から一緒にやってきましたし、たまちゃんの主演公演に2番手で出してもらったりもしていたので、お互いのお芝居がわかっているところも作用したのかなと。
──最後にトートがルキーニにナイフを託すところに、すんなりつながるなという感触が大きかったです。
そのナイフを渡す時も、たまちゃんのトート閣下は私の方にしっかり身体を向けてくれたんですよね。他の方はだいたい正面を向いてナイフを落とされるんですけれども、たまちゃんがパッとこっちを向いて落としたので、私もびっくりして。ある意味すごくリアルに「ナイフを握れ」と言われたような、会話をしている気持ちになりました。
──月組イズムを感じるバージョンでもありましたし、いま思い出しても素晴らしい時間でしたが、こうしてお話を伺っているとこれまで様々に培ってこられたものが、今回の30周年記念の「ガラ・コンサート」につながったのだな、素敵だなと思いますが、拝見する側としてはまたお芝居も観たいという気持ちが募ってもいます。宇月さんご自身、今後のビジョンとしてやってみたいことはありますか?
いまおっしゃってくださったように、達成感のあるステージを終えたところなので、今後への気持ちも高まっています。ありがたいことにダンサーと言っていただくことが多いのですが、自分としてはダンスだけを極めたいという欲求があったわけでもなかったんですよね。ただ1度もダンスをやめようと思ったことはないですし、振付をと言っていただく機会も増えたので、これからもずっとダンスは続けていきますし、自分としては皆さんに近くでお会いしたい、という気持ちで始めたLiveで、歌うことがとても好きなんだということに気づくことができて、その経験で演じ方も変わっていきました。またミュージカルに出演したいなという気持ちがふつふつと湧いてきました。
──そんな舞台を拝見できることを心待ちにしていますが、まずはこの直近のステージ「Hayate Uzuki~ Birthday Live~」を楽しみにしている方たち、またもしかしたら時間が作れるかも?といま調整している方たちもいらっしゃると思いますので、是非皆さんにメッセージをいただけますか?
日頃から応援してくださり、私を支えてくださっている周りの方々や、遠くから心を寄せてくださっている方々にはいつも本当に感謝しています。そうした皆様に愛をお返ししたい、この想いを届けたいとずっと思ってきての「Birthday Live」なので、私からの愛を受け取ってもらえたらなと。皆さんがわざわざ出向いてくださるお気持ち以上のものをお返しできるように、クオリティも、そして意外性と言うのでしょうか。Liveでこんなに面白いことをするの?!という、ポジティブな意味で通常の「Live」と呼ばれているものとはひと味違ったものもお届けするので、是非たくさんの方に来ていだきたいです。この記事を見て「あ、この日行ける!」と思ってくださったら、是非、銀座TACTに足をお運びください。お待ちしています!
(取材・文/橘涼香)

【公演情報】
「Hayate Uzuki 〜Birthday Live〜」
日程:2026年4月17日(金)
開演時間:14:30 / 18:30 (開場は開演の45分前)
Special Guest:白雪さち花 (18:30公演のみ)
チケット料金:10,000円 (Tシャツ付き / 昼夜で色違い)+当日別途ドリンク800円
会場:ライブハウス 銀座TACT (有楽町駅徒歩7分、銀座駅徒歩3分)
主催:株式会社ERIZUN
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14;30開演の回を申込受付中!
【チケット申し込みフォーム】
https://forms.gle/5xuoa4vmQBwD3F5c8






