
紀元前の、苛烈な戦乱の中にある中国・春秋戦国時代を生きる戦災孤児の少年・信と、のちの始皇帝となる若き秦王・嬴政(えいせい)。たった2人の少年が、史上初の中華統一を目指す様を描いた原奏久の大人気コミックス『キングダム』。
様々なメディアミックスも展開されているこの作品の、待望の続編となる、舞台『キングダムⅡ-継承-』が、8月9日東京建物Brillia HALLで開幕する(9月13日まで。のち、9月21日~29日大阪・新歌舞伎座、10月6日~13日、福岡・博多座で上演)。
そんな初日を目前に控えた8月5日。真夏の渋谷のまさに正面玄関とも言いたいスクランブル交差点に位置するSHIBUYA TSUTAYA 1Fに出現した、クールでホットな一大イベント、『キングダム』連載20周年記念「キンキンキングダム」を、舞台『キングダムⅡ-継承-』で趙国の剣士・カイネ役を演じる俳優の森莉那(もりまりな)が訪れた。

戦いに次ぐ戦いのなか、出会いと別れを繰り返しながら進んでいく『キングダム』の熱い世界観を涼しい会場で体感しようというコンセプトのもとに繰り広げられる、集英社初の“戦国クールスポット”は、『キングダム』の登場人物たちが、涼しげなブルーで描かれている外観から既に意表をついた趣。
そこから展示会場の入り口に向かうと、100個を超える風鈴と同じく100を超える『キングダム』の名セリフたちが出迎えてくれる「キンキン風鈴回廊」が続いていく。色とりどりの風鈴がとても涼し気だが、そこに並んで「血祭りだ!」にはじまる、『キングダム』の熱い名セリフが吊り下げられているのが、このイベントの趣旨を示しているようだ。愛らしい笑顔と同時に、強い意志が感じられる瞳を持つ森も、ここからはじまるイベント内容に興味津々の様子。舞台『キングダムⅡ-継承-』の黒字に赤のカンパニーTシャツと、白地に青が基調になっているイベント会場でのコントラストも印象的だ。

それが一転「ようこそアツアツな戦国へ」と題された、このイベント趣旨が描かれた大壁面の前では、コミックの情熱のたぎりと、舞台のカンパニーTシャツがベストマッチ。“戦国クールスポット”は実は、これ以上ないアツい世界だと伝える玄関口で、刻刻と変わっていく映像が、イベントの真実を映し出していく。

そんな玄関口での熱に続いて、森が向かったのは連載20周年の歴史のなかで登場した400人に至るキャラクターたちの関係性が描かれた「アツアツ相関図」。あまりに圧倒的なキャラクターたちが壁いっぱいを埋めるなかで、森は自身が演じる趙国の剣士・カイネを発見!笑顔でキャラクターを指さす姿が「あ、似ている!」と感じさせ、作品世界が更に立ちのぼってくるようだ。

次に鑑賞したのが、作品の名場面を一問一答形式で紐解く「Q&Atsui(キューアンドアツい)」コーナー。『キングダム』ファンならきっと即答でき、場面の興奮が蘇るだろう展示のなかで、今回の舞台『キングダムⅡ -継承-』でも描かれる、主人公の信が天下の大将軍を目指して教えを乞い、「秦の怪鳥」との異名を持つ大将軍王騎にあっさり断られる様が描かれた、思わず笑みがこぼれる場面もあり、信の三浦宏規と高野洸のダブルキャストと、王騎の山口祐一郎が繰り広げる応酬が見えるようだ。

ここで森は、その信と王騎が共に馬に乗る、舞台版でどう表現されるのかに期待が高まるシーンが広がる白にブルーのイベントTシャツにお召し替え。その足で向かったのが、この展示イベントの大きな醍醐味でもある、「王騎の矛」を持ち上げられる体験スポット。信が王騎将軍から受け継いだ伝説の矛を再現した実物大の矛は、なんと約2m・重さ18kgの本格派。舞台『千と千尋の神隠し』ロンドン公演、韓国公演のオルタナティブキャストとして、主人公・千尋役を数多く演じている小柄な森が持ち上げるのは無理なのでは、とドキドキしたこちらの気持ちをよそに、森は渾身の力で矛を持ち上げ、20年愛され、熱狂され続ける作品の重みを、その手に担って見せてくれた。

また、会場でひときわ目を引く、作品世界で重要な役割を果たす「オノマトペ」が立体パネルとして展示されている「オノマトペ モニュメント」の前でも、しっかりと地に足をつけて立ち、コミックの世界観をその背に担って凛々しい。

更に、作品を信の成長とともに辿る、「連載20周年カウントアップムービー」の大ビジョンの前では、連載当初の少年だった信が一歩、一歩成長していく姿が年代を数えて続いていき圧巻。食い入るように見つめる森が、作品の重みを実感していることが手に取るように伝わってくる。

そして、このアイディアすごい!と感じさせたのが、まさにコミックスの世界観のなかの一員になれる「檄フォオォオォォトスポット」。「続け飛信隊!」の号令一過、全軍が呼応する檄がどんどん大きくなっていく、動く巨大フォトスポットは、まさに自身が将軍となって檄を飛ばしている姿を撮影できる、あまりに感動的なもの。中央に立った森も作品の世界観に飛び込んでいるのがよくわかり、これを一人ひとりが体験するには、人気がありすぎるだろう……と案じられるほどの迫力に圧倒された。
そんな興奮冷めやらぬなか待っているのが20年分の歴史のなかから、厳選された40点が居並ぶ「複製原画ギャラリー」。本になった状態では全容が見られない一枚絵としての原画の美しさと力強さ、断ち切りになってしまう部分にまで伸びていく、原泰久の凄まじい画力、その生き生きとした躍動感に、森もどんどん引きこまれていた。
そして、最後に広がるのが20周年記念グッズ。タオルにこんなに美しく原画が印刷できるのかと驚くクオリティの、額装したいほどのハンドタオルや、Tシャツをはじめ、これは欲しいなぁ~と感じるグッズが山ほど。イベント2日目開場前の段階で既にソールドアウトになっているグッズもあり、改めて充実した展示と作品人気の熱量が感じられていた。
そんな興奮に次ぐ、興奮のイベントを体験した森が、改めてこの展示会、そして初日を控えた舞台『キングダムⅡ -継承-』への想いを語ってくれた。

【森莉那インタビュー】
──「キンキンキングダム」展を実際に体験されていかがでしたか?
20周年という歴史の重みを感じましたし、臨場感あふれる展示ばかりで本当に楽しんで観させていただきました。これから舞台としてやっていくにあたって、改めて20年という重みと、原作に関わってくださったたくさんの方々の想いに恥じように、皆様に楽しんでいただけるようとの思いを新たにし、原作の軌跡をいま辿ることができてとてもよかったなと思っています。

──1番気になった展示は?
どれも素晴らしいのですが、やっぱり王騎将軍の矛ですね。今回の舞台『キングダムⅡ -継承-』でもまさに「継承」が大きなテーマになっているので、18kgの矛を持ち上げるのは結構大変でしたけれど、それだけに物理的な重さと同時に、たくさんの人の想いや歴史を継承していくんだという重みを感じることができて、持ててよかったなと思います。背筋が伸びる想いでした。

──山口祐一郎さん演じる王騎将軍はいかがですか?
山口祐一郎さんの王騎将軍は本当に素晴らしくて!もちろん王騎将軍というキャラクターは、原作でもアニメでも映画でも色々な方が演じられている、皆さんが大好きなキャラクターだと思いますが、山口さんの王騎には人間味がすごく溢れていて、背中を追いかけたくなるかっこいい王騎を演じていらっしゃいます。稽古場でも通し稽古を観る度に、色々なものを背負いながらも前を走り続けてきた将軍として、すごく説得力のあるお芝居をされているので、感動して泣いてしまいます。心から尊敬しますし、王騎としてその場に生きられているのを感じるので、皆さんも客席で御覧になったらきっと泣いてしまわれるだろうと思う、とても魅力的な王騎です。
──ご自身が演じられる「カイネ」を相関図で発見されたときにはどんなお気持ちに?
舞台で描かれる世界のなかでは、敵国の人間という立ち位置なので、ここで出会えたことに不思議な感覚も覚えました。とても魅力的なキャラクターですし、原作の連載が始まる前に原先生が描かれた読み切り作品『李牧』を、図書館で探して読むことができたんです。何故カイネがこういう性格になったのか、今回の舞台には実際に登場しない李牧様に、なぜここまで忠誠を誓うのかなど、多くの背景を知ることができました。カイネが背負っているものや、戦いに対する考え方など、演じる上で深めていきたいと探求しているので、相関図のなかからカイネというキャラクターを見つけられて、とても嬉しい気持ちになりました。

──20年の歴史のなかで、 舞台版だからこそ味わえる魅力についてはどうですか?
やっぱりそれぞれのキャラクターのドラマが、「生」の舞台で焦点が当たることによって、観客の皆様とリアルに共有できることが最大の魅力です。信役の三浦宏規さん、高野洸さん、羌瘣役の山本千尋さんをはじめ、皆さんが身体全体で繰り広げられるアクションの迫力が本当に素晴らしいですし、その場で役として必死に生きられていることの臨場感が舞台ならではのものだと思います。それぞれが持つ戦う意味などを、感じていただけると思います。
──『千と千尋の神隠し』を含めた、ご自身の舞台人生のなかで、舞台の魅力をどう感じていらっしゃいますか?
舞台はお客様と役者が、同じ空間と時間を共有している、生でその場で生きている姿が観ていだたけることが大きな魅力だと思っています。千尋を演じているときにも、その日によってだけでなく、マチネかソワレかという違いでもお客様の空気が全く違うんですね。その空気を共感しながら作品のなかでその場で生きていくことが私はすごく好きなので、目の前に役として生きている人がいることを感じていだたきたい、そこに真摯に向き合っていきたいという気持ちで、いつも作品に取り組んでおります。今日は原画のダイナミックな筆致や細やかな描写からも強い魅力が伝わってくる、すごいパワーをいただいたので、改めてこの20年の重みを背負って舞台に立ちたいと強く思いましたから、是非舞台で生きる一人ひとりの生き様を劇場に観にきていただきたいです!お待ちしています。

【イベント情報】
『キングダム』連載20周年記念イベント「キンキンキングダム」
会期◇2026年8月4日(火)~8月11日(火・祝)10:00~21:00
会場◇SHIBUYA TSUTAYA 1F(入場無料・自由入場)
公式サイト: https://youngjump.jp/kingdom/20th/


【公演情報】
舞台『キングダムⅡ-継承-』
原作◇ 「キングダム」原 泰久(集英社「週刊ヤングジャンプ」連載)
脚本◇笠浦静花
演出◇山田和也
音楽◇KOHTA YAMAMOTO
出演◇信 三浦宏規/高野 洸
羌瘣 山本千尋
龐煖 東 啓介/章平
河了貂 華 優希
尾平 元木聖也
蒙毅 竹内將人
羌象 清水葉月
蒙武 渡辺 大※東京・大阪公演のみ/飯作雄太郎※大阪・福岡公演のみ
摎 大塚千弘
騰 石川 禅
王騎 山口祐一郎
嬴政(声) 小関裕太/牧島 輝
カイネ 森 莉那
尾到 篠崎大悟
趙荘 保土田 充
明部桃子 飯作雄太郎 内海一弥 奥脇大樹 鹿糠友和 粂川暁典
桜木 雅 佐々木駿也 佐藤義夫 寒川祥吾 竹廣隼人 谷颯士 兆平
東川泰千 ドルジ勇大 中内天摩 長嶋拓也 中野高志 中村音心 早川カンナ
藤田 晴 本多剛幸 増田悠那 湊 竜也 森山大志
(※アンサンブルとして出演を予定していた木村和磨は、体調不良のため全公演を休演させていただきます)
●8月9日(日)~9月13日(日)◎東京・東京建物Brillia HALL
公式サイト https://www.tohostage.com/kingdom2/
〈お問い合わせ〉東宝テレザーブ0570-00-7777
全国ツアー
●9月21日(月)~29日(火)◎大阪・新歌舞伎座
●10月6日(火)~13日(火)◎福岡・博多座
製作 東宝
【取材・文/橘涼香】












